きたろう散歩番外編”水道の放射能汚染と羅漢の井(Ⅰ)(注)” [きたろう散歩]

ブログを掲載するのに先立ち、このたびの東日本大地震で被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。また、犠牲になられた方々へ謹んでご冥福をお祈りいたします。
   
3月27日アップ
 3月24日夕方、「栗山浄水場の水から厚生労働省が定めた乳児の暫定基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える180ベクレル放射性物質の放射性ヨウ素131が検出された」との報道を聞きました。前日には、金町浄水場から、基準値を超える放射能が検出されていたので、千葉県も「やっぱりな」という感じでした。きたろうの住んでいる所は、多分栗山浄水場から給水されているはずで、放射能で汚染された水は飲みたくないと思いました。
   
 TV・ラジオから何度も流れている、「直ちに健康に影響は無い」というセリフは全く信用出来ません。放射能汚染の原因となった、原発だって、安全というアナウンスしか、一般大衆には説明されてなかったと思うが、あんなにもろいものだとは思いませんでした。東京電力は、「想定外の地震・津波」のような言い訳をしているようですが、地震では、炉芯は安全に運転が停止したわけですから、津波が想定外という言い訳は説得力がありません。炉心が安全に停止したのであれば、冷却装置も滞りなく運転が始まるような対津波の設計基準が必要だと思います。炉芯の耐震基準の厳しさに対し、冷却装置の対津波の設計基準が甘すぎるとしか考えられません。現に、平成19年には、共産党が、津波に対する対策が弱いと指摘し改善を要求しているということではありませんか。共産党の勧告を受け入れ、今回の津波に耐えうる構造にしていたら、今頃は、安全にクールダウンしていて、逆に、日本の原発の安全性が証明され、世界に誇れたはずでした。(共産党の指摘は、地震発生時の引波により、冷却水が取り入れられなくなるという指摘で、若干的はずれのような感も無きにしもあらずですが、津波に対する、設計が甘いという点では正しいと考えられます)
    
 
 さて、一億総評論家はこの位にして、きたろう家の対水道汚染対策をどうするかという緊急課題が生じました。ペットボトル入りのお茶2ℓが一本とスポーツ飲料2ℓが2本がきたろう家の在庫です。水は、地震以来店頭で見かけたことも無く在庫ゼロです。飲み水としてはお茶とスポーツ飲料でしのげますが、調理用の水をどうするか?このレベル程度の放射能では、1年間飲んだとしてCT検査程度の放射線しか浴びないというのであれば水道水を使おうか?なんで、最大の努力を払ってでも、ペットボトルの水を確保しなかったのか。いや、地震以来ペットボトルの水を買いだめするよう行動は、被災者の方に対する物不足を助長するのでは?等々とめども無くいろいろな考えが頭の中をめぐりました。その時、里見公園の所の湧水を利用したらというアイデアが浮かびました。湧き水であれば、まだ、放射能に汚染されていないし、しかも無料である。明日、汲みに行こうと言う事で一安心して寝ました。
   
#01羅漢の井・全景.jpg
   
 翌、25日朝、2ℓのペットボトルを数本持ち、通常なら車で行くところですが、ガソリン温存のため、自転車で行きました。お彼岸が過ぎたというのに非常に寒い!江戸川の土手の草は、霜でうっすら白くなっていました。この湧水は由緒正しい湧水で、江戸名所図会に「総寧寺羅漢井」として描かれていますが、今まで関心を持って接した事はありませんでした。朝7時ちょい過ぎに着いて、ペットボトルに水を汲みました。ここの湧水及び湧水周りは大分きれいに整備されていました。また、以前からそうでしたが、注意書きの看板があり「この湧水は、飲料には適しません 市川市」となっていました。確か、以前どこかで、菌が検出されるのでこのような看板を出していると言う事を聞いたような気がしました。
    
#02羅漢の井.jpg
※改修年を訂正しました[平成19年(誤)→平成20年(正)]
    
 ともかく、その日は、直接飲用は、スポーツ飲料、コーヒー用(インスタント)は、この湧水で過ごしました。調理用(味噌汁、お茶、そばのつゆ用等)に湧水を勧めましたが、家の者は、湧水より仮に放射能があっても水道の方が良いとの事で、調理用には使いませんでした。汲んで来た湧水・ペットボトル1本を煮沸消毒しました。煮沸はしましたが、ふと、なんで飲用不適なのかという疑問が湧きました。また、朝あの湧水の前を通ると、大抵水を汲んでいる人がいるのに、今日は水を汲んでいる人がいなかったのだろうという疑問が湧きました。
    
 26日朝、ネットで、羅漢の井の情報を得ようと調べました。市川市のHPでは、この湧水は「施設の案内」コーナーで紹介されていて、「この湧き水は、このままでは飲料用には適していません。」と赤色の文字の注意書きがありました。理由は書いてありませんが、”このままでは”と書いてあるので、煮沸すれば良いのかな?とも思いました。その他ネット上には、「名水百選」的な物、名所案内的な物、散歩ブログ的な物多数ヒットしました。しかし、水質または飲用不可の理由まで言及したものは見当たりませんでした。この日の朝、ペットボトル2ℓが2本空いたので、また、湧水を汲みに行くことにしました。6時ちょい過ぎに、湧水に到着、既に汲んでいた男性1名、汲み終わって、自転車を押して坂の上の方に去って行った男性1名がいました(年齢層はいずれも60代~70代)。きたろうが、汲み終わって写真を撮ろうとしたら、もう一人の方が汲みに来たので、写真撮影は中断、周辺の様子を撮影していました。その後、女性の方が汲みに来ました。この湧水を汲みに来る常連の方は多分6時代に来るのかなと思いました。
    
#03里見公園下の案内板.jpg
    
 先程の男性と女性の方は水を汲み終わって、脇でお話をされていましたので、羅漢の井を撮影しました(写真#02)。この、女性(Hさん)は、この湧水はおいしいので、汲みに来ているとのこと。また、これから、この湧水に惚れ込み、この近所に引っ越してきた方の所へ、伺うということなので、きたろうも同行することにしました。この方は、湧水の坂の上50m程上で美容室をやっている方でAさんという方だそうです。美容室の前で、きたろうが、店名、電話番号等メモしていると、犬の散歩に出かけるAさんが出て来ました。Hさんが、声を掛け、犬の散歩に同行しながら、この湧水に関するお話をして頂けるという事になり、以下、その伺ったお話を歴史ストーリー的にまとめました。
    
『江戸期に、名所図会に描かれた程の総寧寺羅漢井も、戦争中には捨て置かれて荒れてしまいました(湧水は出ていた)。戦後、引揚者の金谷さんと言う方が、この湧水の近くに、掘立小屋を建て住み始めました。水は、この湧水から調達することにして、ホースから湧水を取り込んで、ドラム缶に溜めるという簡単な給水設備を作りました。金谷さんが住みついたところは、国有地の一角で、湧水のある場所は市が管理している区域ですが、金谷さんは国及び市に無断で、各々占有していました。
 平成の始め、一人のお父さんが自分の娘さんが食が細く、ミルクの飲みが悪いということで悩んでいました。その方がAさんで、Aさんはある人に勧められて、ここの湧水でミルクを溶いて、娘さんにあげたところ、ごくごくとミルクを飲むようになりました。Aさんは水を汲みに毎日ここへ通うようになりました。ある日、金谷さんから「毎日、来ているようだが、ここの湧水の管理の手伝いをしてくれ」と頼まれました。湧水の管理とは、ここの湧水は流量が細いので、流路が小石などでふさがると、ドラム缶に導くためのホースに、うまく水流が入りらなくなったりするのを防ぐことです。この後、Aさんは、すっかり、この湧水に惚れ込み、この近くに引っ越して来ました。  おわり』
    
#04国府台から京成鉄橋方面.jpg
    
 さて、きたろうが一番気になっていた、市川市が飲用不適とした理由と放射能汚染の問題ですが、その点を質問すると、Aさんは個人的に、分析機関で水質検査をしているとのことでした。それによると「大腸菌が、たまに検出される」とのことでした。その他、窒素、重金属等は基準をクリアーしているとのことでした。Aさんは、このままで飲んでも大丈夫と言っていましたが、きたろうは煮沸して飲むことにしました。また、放射能については、湧水に湧き出るまで、Aさんの見解では約20年かかっていると推定されるので、もし放射性ヨウ素があったとしても問題無いレベルに減少しているはずとの見解でした。この話を聞いて、ここの湧水は煮沸すれば、全く安全なことが判りました。
    
#05国府台から東京スカイツリー.jpg
    
Aさん貴重なお話と、情報をありがとうございました。また、偶然めぐりあったHさん、Aさんのお話を聞きにお誘い頂き感謝いたします。
    
注)続編をアップしましたので、本編を(Ⅰ)としました。
本文END
この後、家に戻って、羅漢の井の検索を継続したら、ここの井戸の、安全性に関する記事がヒットしました。
    
■都市再生・景観サイト(2008年5月29日から)
    
『名水「羅漢の井」再生』 (2008/05/28付け 読売新聞より 市川市国府台の名水「羅漢の井」が、復元整備された。弘法大師の伝説など、数々の歴史物語を残す地域遺産だが、ここ数年は荒れ放題だった。石囲いをするなど情緒たっぷりで、市は「散策途中に涼んでもらえれば」と話している。
<中略>
 市の水質検査では、窒素の含有率がやや高めだが、全体的には問題なしとされた。ただ、地表面を落ちる「しぼり水」も含まれるなどの理由から、市では近くに「飲料には適しません」との看板を立てた。
 それでも、「清れつさは、昔と変わらない」「お茶にすると美味」などと、ポリタンクで持ち帰る市民は少なくない。市公園課は「休息場所には最適。歴史ロマンもあり、散策に生かしてほしい」と話している。
    
■この湧水の動画サイトもあります。
<動画・羅漢の井>
弘法大師が見つけたという伝説が残る里見公園の羅漢の井。(2分14秒)
投稿者: 66tamegoro99 | 作成日: 2008/11/04
END

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お水番

市川市の羅漢の井の話題、興味深く拝読いたしました。
当方、東京国分寺市の真姿の池湧水の観測グル-プの母体となっている団体では、全国の国分寺(天平時代の官寺)と湧水の関係を調査することをテ-マとして、各地の国分寺巡りツア-をやっています。
昨年の夏、下総の国分寺と国府跡をたずねました。そのツア-では、下総国府・国分寺と関係のあった湧水で現在も湧いている湧水をたずねることはできなかったのですが、羅漢の井はまさに、国府台のふもとの湧水のようですね。
ぜひ、行ってみたい湧水です。

by お水番 (2011-03-27 22:27) 

きたろう

お水番さん、訪問ありがとうございます。
律令時代の国府の中心の国庁は、写真#01の坂を上がって、突き当たりを右に行った所・羅漢の井からは直線で東南東方向約700m先の野球場のあたりにあったとされています。国分寺は、そこから。さらに東方向約800m先にあります。湧水に関して全く詳しく無いのですが、亀井院(市川市真間4丁目4番)の裏庭に真間の井という歴史的に有名な井戸があります。(万葉集に手児奈姫が水を汲んだとの伝えが詠われています)
 地形的には、国分寺の東側に、たくさん湧水があると推定されますが、ここは今、外環道の建設で大変貌しつつあります。そういえば、数年前、環境保護のグループが、外環のコースを変更するよう要求していましたがその結末について、きたろうは認識していません。但し、この外環のコース付近は、律令時代頃川があったので、水には困らない地域でした。最近、遺跡も発見され、北下遺跡として、市川では話題になっています。
by きたろう (2011-03-29 10:47) 

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