第6回 「品川御殿やま(春28景)」を撮る [広重・名所江戸百景]

2010/3/28アップ

ここは、名所江戸百景のなかで広重の時代から現代まで地形的なものが残っている地点の一つです。(絵#01)

#01広重春28景品川御殿やま.jpg
江戸時代の始め、徳川家が豊臣秀吉の側室淀君を人質にとっておく目的で御殿を建てたところから、御殿山という地名となりました。

この絵で、河岸段丘状の地形は、自然に出来たものではなく崖の手前は、人工的に削った部分です。幕末、ペリー提督が黒船を率いて日本にやってきたのをきっかけに、品川沖に砲台の台となる場所、すなわちお台場を築くときに、御殿山を削った土を使ったそうです。

広重の絵で、土を削って低くなったところを、現在はJRが走っています。

八代将軍吉宗がここに桜を植えさせてから桜の名所になりました。また、江戸の名所の中で桜の開花が最も最も早いことで知られていました。本項の桜シリーズの皮切りに御殿山を選びました。

御殿山をまず地点Aから撮影しました。(図#02、写真#03)

#02撮影ポイント.jpg

※画面をクリックすれば、拡大表示されます(以下の写真も同様)

#03御殿山・地点Aから.jpg
地点Aからでは、広重の絵のような奥行きのある景色は無理でした。広重の絵のように、画面右側部に奥行き感をだそうとすると、新八ツ山橋の欄干で景色が遮断されてしまうからです。但し、広重の絵と同じように崖の上に桜が咲いているのは捨てがたい光景でした。


次に、地点Bで撮影することにしました。行く前、地図で見ると道路がJRの線路部分に最も近づいていて絶好の撮影ポイントの様に見えますが、現地に着くと、道路とJRの線路部分は、新幹線へ侵入防止等の目的でコンクリートの高い塀で遮断されていて、写真撮影が困難でした。かろうじて、直角に曲がった道路の先端部の塀の一部が窓状になっていてプラスチックのパネルが埋め込まれているところがあり、そこから御殿山方向を撮影しました。(写真#04)

#04御殿山・B地点から.jpg
広重が約150年に描いた視点にかなり近いと思われましたが、惜しむらくはプラスチックのパネル越しに撮っているため、結果的ではありますが、画面のコントラストが足らないのと、画面の一部がハレーションになって、写真としてはグレードの低いものでした。
次に、C地点から、撮影しました。ここは、ズバリ「御殿山通り」という通りがJRの線路を跨いでいるところで、地図では一番期待されるところです。そこで撮影したのが写真#05です。
#05御殿山ホテルラフォーレ東京を望む.JPG
150年も経過しているので、広重の絵と写真#05は全然違っています。しかし、「150年前を偲ぶものが何か無いか?」の精神で、この写真をよく見ると対岸のホテルの建物や、JRの線路や架線を取り除いて想像すると、対岸の崖の感じや溝状になっている部分など、地形的なものはほとんど変わっていないことがわかりました。桜も手前の方に咲いていました。
    
御殿山通りです。(写真#06)
#06御殿山通り・JR跨線橋.JPG
JRに絡む、事故防止のため跨線橋とその近辺は高い金網が張り巡らされていて、電車や景色を撮影するのは不向きです。写真#05の右上と左下の黒い影は金網が写り込んでいる影です。
     
いろいろな電車が通ります。(写真#07)
#07御殿山付近を通過する成田エクスプレス.JPG
新幹線も通ります。(写真#08)
#08御殿山ハウス付近を通過する新幹線.JPG
ここのJRの線路は、京浜東北線、山の手線、東海道線、横須賀線、新幹線といろいろな路線が走っていて、いろいろな種類の電車が走ります。
広重の絵では、崖の上に桜の林が見えますが、写真#05と写真#07では桜は見えないので御殿山へ跨線橋を渡って行きました。(地点D)(写真#09)
#09御殿山入口.JPG
桜は咲いていました。桜の木は道路の両脇に並木状に植わっているだけですが、濃厚な香りでした。お酒を飲んで、この香りを吸い込むと気持ちを異常に高揚させるという説がありますが本当でしょうか?(写真#10)
#10御殿山の桜(1).JPG
保存樹と書かれたプレートが数本の木に掛けられていました。「保存樹」がどういうことなのか、ネットで一寸調べましたが、良い情報にぶつかりませんでした。(写真11)
#11御殿山の保存樹.JPG
今日(3月26日)で開花発表から4日たちます。ここの桜は五分咲き位かなと思いましたが、この写真で開花状況は各位判断して下さい。(写真#12)
#12御殿山の桜(2).JPG
御殿山に向かう途中、総武線沿線にある桜の木を眺めて来ましたが、ほとんど咲いていませんでした。(数本の木が咲いていたのみ)
やはり、御殿山は都内でも桜が咲くのは早いというのを実感しました。
    
<広重の絵>
・名所江戸百景の内「品川御殿やま(春28景)」安政三年(1856)四月
<撮影日>平成22年3月26日(金)
<撮影ポイント>
・A地点・・・新八つ山橋南詰め(品川区北品川3-1-1)
・B地点・・・北品川3-2-3
・C地点・・・北品川3-5-28先
・D地点・・・北品川4-8近辺
<今回の写真の自己評価>
広重の視点で写真を撮る・・・ジャスト再現出来たと思う
撮影季節・・・・・・・・・・桜の咲く時期でOK
昔の名残りの掘り出し・・・・・・・・・広重の時代の地形が良く保存されているのを発見
現地での達成感・・・・・・・・・・・・・・☆☆☆
総合評価・・・・・・・・・・☆☆☆(☆三つ、最高)
    
訪問頂きましてありがとうございます。

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コメント 1

サイモン

こんばんは、きたろうさん。
広重が描いた絵を、現代の視線で辿るブログ、きれいに作りこまれていて毎回アップされる時を楽しみにしています。
時間のかかる大変な取材とは思いますが、楽しみにしておりますので宜しくお願いします。
これからも沢山の方が訪れるブログになる事を祈っております。
それでは、次回のアップをお待ちしております。
by サイモン (2010-03-28 20:14) 

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