第9回 広重画「玉川堤の花」の舞台を散歩する [広重・名所江戸百景]

2010/4/16(金)アップ

この絵を最初見たときに、玉川が流れているということで、この絵の舞台は小金井とか立川の方かと思いました。ところが、この絵は、今の新宿御苑のところを描いたものであることが判り驚きました。玉川は、江戸に上水を供給するため、多摩郡の羽村から今の新宿御苑のすぐ北側を通り、この先にあった四谷大木戸の水番所迄掘った人工の川です。江戸時代は、水番所先からは暗渠となって江戸市中に水を供給していました。
今も、玉川上水はありますが杉並区久我山2丁目(中央高速・高井戸IC付近)の所から暗渠になっています。

#00広重・玉川堤の花(春42景).jpg
 この絵見ると、玉川の流れは右にカーブしています。(ものの本によるとこの絵は東から西方向を描いたとのこと)桜並木も川の堤に植えられているので同様に右カーブしています。川の右側は町屋(旅籠)で左側は武家屋敷(内藤駿河の守の下屋敷または家臣の家)です。桜は満開で、多数の花見の客が立って見ています。子供や赤ちゃんもいますので、家族ずれでも見に来ているということです。

この場所は、本テーマの撮影で何度か訪れており、広重と同一視点では、玉川の流れが無いことは経験済なので、今日は(4月6日)先にこの絵のイメージの再現を行うことにしました。
一番左に道路、次に桜、右側に玉川上水という構成の景色を小金井にターゲットを絞り小金井橋から玉川上水沿いに西方面を探索しました。一番このイメージに近いところが貫井橋の一寸先で見つかり、撮った写真が、写真#01です。

#01玉川堤の花イメージ(小金井市).jpg
※画面をクリックすると拡大表示出来ます(他の写真も同様)。

写真#01では、左に道路、中央に桜並木、右に玉川と広重の絵のイメージにぴったりでした。残念ながら、玉川は、3m程下を流れているため水面は写りませんでした。また、道はカーブしていませんでした。(途中、右カーブしている所もありましたが、そこの桜はあまり咲いていなかったので残念ながらイメージと合わず割愛)。
 小金井橋から写真を撮影した所まで約800mですが、その間桜の咲き方は大分むらがあり、「咲きはじめ」の状態から「満開」の状態までと様々でした。歩道のベンチに座っていた地元の人に聞いて見ましたが明確な回答は得られませんでした。小金井橋から貫井橋まで平均すると、6~7分咲きくらいになると思われました。(写真#02、03)

#02桜(小金井市).jpg
#03上水桜通りの桜(小金井市).jpg
広重の絵のイメージの場所を、地図で探したときはこの通り(上水桜通り)はぴったりの場所でしたが、実際に来てみると玉川の流れが見えず、広重の絵のイメージ再現は今一歩でした。

次に、新宿に戻り、広重がかつて描いたであろうと言う場所を探しました。ポイントは、東から西方向を見て右カーブしている場所です。その場所は2箇所ありました。うち1箇所は、住所でいうと新宿区新宿1-6です。(写真#04)

#04 地図・新宿御苑近辺.jpg
#04葉桜・新宿1-6.jpg

もう1箇所は、ここから300m東の新宿御苑の大木戸門の近辺です。(写真#05)

#05右カーブの道・新宿御苑大木戸門傍.jpg
どちらが、広重の視点に近いかということでは、写真#04の方です。というのは、現在の大木戸門のところは古地図で見ると、ここは両側とも武家屋敷なので、写真#05の可能性は低いからです。
新宿の桜は、葉桜状態で散り始めていました。(写真#06)

#06葉桜・新宿1-6(2).jpg
この辺では玉川の流れは暗渠され今でも流れているのか、それとも流れはもう無いのか良く分かりませんが、新宿御苑の散策道(#04の道路のすぐ南側)に玉川の流れを復活する工事が計画されています。その完成予想図が写真#07です。
#07新宿御苑散策路整備工事看板.jpg
この工事の工期は、別の看板に平成21年11月から平成22年3月と書いてあるので完成していても良いはずですが、工事はあまり進捗しているようにはみえませんでした。大分、工期が遅れているようです。 この、工事が完成すると散策道に模擬玉川の流れが加わり雰囲気の良い散歩道になると期待されます。残念ながら、桜並木は再現されません。

昔、ここの玉川の堤は桜の名所で大勢の人々で賑わっていました。今は、新宿御苑への来訪者で賑わっています。(新宿御苑大木戸門)(写真#08)

#08新宿御苑大木戸門の賑わい.jpg
新宿御苑の大木戸門のそばに、「内藤新宿開設三百年記念碑」がありました。この碑に、広重の絵の画面右側に描かれた旅籠に関する記述もありました。(この碑に描かれた絵も広重の絵のようである)(写真#09)

#09内藤新宿300年記念碑.jpg
この後、次の広重の絵の舞台の市ヶ谷に向かいました。
    

<広重の絵>
・江戸名所百景のうち「玉川堤の花」春42景

<撮影ポイント>
・広重のイメージ・・・小金井市貫井北町3-40
・小金井市のその他の桜・・・上水桜通り、小金井橋~貫井橋の間
・広重と同一視点のポイント・・・新宿区新宿1-6
・新宿御苑散策道・管理門の傍、新宿御苑大木戸門近辺

<訪問日時>
平成22年4月6日(火)14時30分~15時10分

<本探訪の自己評価>
・広重の視点で写真を撮る・・・ジャストOK
・広重の絵のイメージ再現・・・☆☆(小金井市の玉川沿いの桜並木で再現・・・川の水面欠)
・昔の名残の掘り出し・・・江戸時代の道路が残っている?
・現地での感動・・・小金井市で・・・☆、新宿で・・・☆☆
・総合評価・・・☆☆

※この地点は1年前と11年前にも訪れていますが、その時の写真等は割愛しました。

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