第23回、広重・名所江戸百景、「王子音無川堰捸(おとなしがわいせき)」(春19景)&第24回「王子滝の川」(秋88景) [広重・名所江戸百景]

2018年3月28日取材/4月20日アップ

「広重の名所江戸百景」は、きたろうSO-NETブログの中心的ブログですが、本テーマでのアップは3年振りです。(本テーマでのアップは、2015年4月29日「亀戸天神の藤」以来中断)

 さて、今年の花見は、広重が桜を画いた場所を訪問し現在の状況を撮影・記録することと致しました。
まず、平成30年3月28日、名所江戸百景の内、春19景「王子音無川堰捸(いせき)」の舞台となった王子駅近辺を訪問しました。
#01、広重・名所江戸百景、「王子音無川堰捸(おとなしがわいせき)」(春19景)
$01赤丸①広重王子音無川Dブログ用.jpg
音無川とは、石神井川の下流、王子神社の付近では、音無川と呼ばれていました。
 この辺りに堰(せき)が作られており、#01の絵のように滝が形成されていました。この滝は、大滝と呼ばれていました。この絵の左奥のもえぎ色の山は、飛鳥山です。
滝の、すぐ下にいる3人は、恐らく修行のために滝で身を清めていると思われます。下流の4人は、修行では無く、また別の目的で川の中に入っていると推定されます。

#02、地図1、(王子駅、飛鳥山、金剛寺、滝の川橋)
$02王子音無川滝野川MAP.jpg
この絵が画かれた場所ですが、地図1の①の場所から、西方を画いたものと思われます。その根拠は、この堰が、文献で王子神社の下あたりにあったということと、絵を見ると川が上流から下流にかけて右にカーブしているので、丁度この場所が該当するからです。

手持ちの、文献で、この大滝のイメージと一致する写真を#03の示しました。

#03、大滝のイメージに合致する古写真
$03滝野川古写真「古写真で見る 江戸から東京へ」より.jpg
但し、この写真の標題は「滝野川」(注)となっているので、この大滝ズバリかどうかははっきりしません。
注)滝野川・・・音無川の上流部は滝の川と称されています。

この絵と同じ、現在のビューポイントで撮影した写真を#04に示しました。

#04、王子駅・親水公園口から親水公園方向を望む
$04王子駅親水公園口からの眺めP308.jpg
この写真では両岸に建物が建っているのでわかりませんが、左手は飛鳥山、右奥が王子神社で、この絵の場所であるのは、ほぼ間違いないと思われます。この写真は、王子駅親水公園口を出たすぐのところから撮影しました(#05)。

#05、王子駅親水公園口
$05王子駅親水公園口P309.jpg
また、この場所を明治10年代に撮影したと思われる古写真を#06に掲載しました。

#06、王子の茶屋・明治10年代
$06王子の茶屋(古写真).jpg
北区は、この一帯を、親水公園として、昭和63年までに整備しました。

#07、現在の親水公園(地図1のポイント②)
$07青丸②王子親水公園P311.jpg
公園内は、花見客で賑わっていました。
親水公園と称している割には、水の流れはあまり見えません。
この事業の経緯を書いた説明板が、設置されていました。

#08、「音無親水公園」整備事業の説明板
$08音無川親水公園説明文P315.jpg

説明板の内容
音無親水公園
 音無川のこのあたりは、古くから名所として知られていました。江戸時代の天保七年に完成した「江戸名所図会」や、嘉永五年の近吾堂板江戸切絵図、また、安藤広重による錦絵など多くの資料に弁天滝、不動の滝、石堰から落ちる王子の大滝などが見られ、広く親しまれたことがわかります。
 「江戸名所花暦」「遊■雑記」などには、一歩ごとにながめがかわり、投網や釣りもできれば泳ぐこともできる、夕焼けがひときわ見事で川の水でたてた茶はおいしいと書かれており、江戸幕府による地誌、「新編武蔵風土記稿」には、このあたりの高台から眺めについて、飛鳥山が手にとるように見え、眼下には音無川が勢いよく流れ、石堰にあたる水の音が響き、谷間の樹木は見事で、実にすぐれていると記されています。
 こうした恵まれた自然条件をいまに再生し、後世に伝えることを願って、昭和六十三年、北区は、この音無親水公園を整備しました。
         
     たきつせの絶えぬ流れの末遠く
         すむ水きよし 夕日さす影
               飛鳥山十二景のうち
                  滝野川夕照より
                
  昭和六十三年三月   東 京 都 北 区
注)■・・・判読不能

さらに、桜を求め、上流に向かいましたが、親水公園を過ぎると川の両岸に塀が設置されていて、川の水面が見えない状態が続きました。

#09、王子本町1-2付近(地図1、赤丸ポイントからの眺め)
$09王子本町1-2付近(ストリートビューより).jpg
※ストリービューの画像です。

#10、王子本町1-5付近(地図1ポイント③)
$10青丸③滝野川(王子本町1-5付近)P317.jpg
この辺りでやっと、川面に懸かる桜が見られるようになります。

#11、紅葉橋から金剛寺を望む(地図1ポイント④)
$11青丸④P323紅葉橋から金剛寺を望む.jpg
金剛寺は、通称紅葉寺と称され、この付近かかる橋も、もみじ橋と名づけられています。

#12、名所江戸百景「王子滝の川」(秋88景)
$12赤丸⑤広重王子滝の川原図.jpg
広重は、秋の景色として、この辺りを画きました。
石神井川の上流から下流方向を見た景色です。石神井川はこの辺では、滝の川と称されます。画面右の滝は、弁天の滝ですが、現在はありません。画面右上、朱色の建物が金剛寺です。

#13、金剛寺と桜(ア)(地図1ポイント⑥)
$13青丸⑥金剛寺の桜アP325.jpg
金剛寺の対岸(滝野川4-3)からの眺め。

#14、金剛寺と桜(イ)(地図1ポイント⑦)
$14青丸⑦金剛寺の桜イP326.jpg
金剛寺は秋の紅葉が有名であるが、春の桜も見事です。
今年は、桜の開花が早く、まだ3月28日というのに、桜はちりはじめており、川面が花筏状態になっていました。

#15、滝の川4-8付近から下流方向を望む
$15青丸⑧滝野川橋付近より下流方向P329.jpg
滝の川橋近くのポイント⑧からの眺め。石神井川もこの近辺では、滝の川と称されます。

#16、滝の川橋親柱
$16滝野川橋親柱P330.jpg


#17、滝の川橋から上流方向を望む
$17青丸⑨滝野川橋より上流方向P327.jpg
ここでUターンをして、次の桜の名所に向かいました。
(続く)

※お詫び
きたろうの、根気の無さで、前回の「ブラタモリトレース・神宮外苑」はその2で中断したままになっています。機会をみて、再開致しますのでご了承ください。

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コメント 3

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

飛鳥山付近を歩いてみつと、どことなく古の香りを感じるのですけど、こうやってお話を伺うと、街の装いは大きく変われど、どこか昔の面影を残している。

私も、今度はこの視点を持ってこの辺りを散策したいと思いました。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2018-04-22 19:50) 

きたろう

老年蛇銘多親父さんコメントありがとうございます(*^_^*)
江戸の名所をおとずれ、少しでも昔の痕跡を見つけたとき、一人ほくそえんでいます。
by きたろう (2018-04-23 12:38) 

viviane

せっかくコメントいただいたのに・・・意味が分からず(>_<)
by viviane (2018-04-23 22:33) 

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