第20回、上野清水堂不忍ノ池(うえのきよみずどうしのばずのいけ)(春 [広重・名所江戸百景]

2012/04/08(日)取材
2012/04/12(木)アップ

名所江戸百景で、満開の桜を描いたものが、数点あります。上野の名所の清水堂も桜が満開の時期に描かれました。
今年の桜は、今日・8日(日)が満開のピークと思われましたが、午前中から所用があり、なかなか撮影に出かけられませんでした。やっと、出かけて、上野についたときは、日が傾きはじめた頃でした。

#01、広重画・上野清水(きよみず)堂不忍ノ池(春11景)
#01広重・上野清水堂・ブログ用.jpg
これが、約150年前に描かれた、上野・清水堂です。満開の桜と不忍池が描かれています。清水堂の下の道の傍らに、ぐるっと円を描いた、奇妙な枝ぶりの松の木が描かれています。この木は、広重がお気にいりだったようで、名所江戸百景のなかで、清水堂の他に、「上野山内月のまつ」としても描かれています。(本ブログでは第2回として、2009年10月26日にアップしています)

#02、現在の上野清水堂
#02上野清水堂①゙626.jpg
広重のアングルとほぼ同じアングルで撮った現在の清水堂です。満開と日曜が重なったので、大変な人出でした。
この写真は、一脚を利用して、3m程の高さからの俯瞰撮影をしたものです。
この視点からだと、清水堂の手前に丁度桜の木(八重紅枝垂桜)があって、清水堂が良く見えません。

#03、清水堂
#04上野清水堂③643.jpg
やや、清水堂で接近して撮影した写真です。この、写真の左隅
所が、清水堂の崖下の道に降りる階段の降口です。広重の絵では画面下部中央やや左寄りに描かれています。
花見客は、老若男女様々な年齢層の方でごったがえしていました。また、外国の方もたくさんいらっしゃいました。

#04、清水堂舞台
#05上野清水堂④647.jpg
このお堂は、京都の清水寺を模して建てられたので、清水寺と同じように舞台があります。この、舞台を一脚を利用して撮影しました。この画面ではわかりませんが、一脚を持っているきたろうの周囲は、記念写真を撮影する人で満員電車並みの混雑です。
舞台越しに桜も見えますが、逆光で露出オーバーになりました。
ここで、人文社の「大江戸名所百景散歩(堀晃明著)」の上野清水堂の解説文をそのまま転載いたします。


名所江戸百景の内春11景 上野清水堂不忍ノ池 安政3年(1856)4月   「広重の大江戸名所百景散歩・堀晃明著」(人文社1996年4月1日発行)より  上野の山は、江戸一番の桜の名所であった。ここは徳川家の菩提寺である寛永寺の開基であった天海僧正が、大和(奈良)の吉野山と同じように桜見物が出来る場所にしようと、咲く時期を異にする吉野桜、山桜、ハ重桜などを山内に工夫して植えたので、2月末から3月中頃まで桜の花が絶えることがなかった場所である。  上野の山は、桜の時期だけ入口の黒門を開き、庶民の入山を許した。都心に近く、広大な土地で桜見が出来た点では、江戸市民にとって最適な桜見の場所であった。  長屋の住民までも大家に連れられて出かけている(落語「長屋の花見」)。しかし山内には寛末寺があって規則が厳しく、見物人は一応飲酒は許されたが、魚を食べたり、三味線を弾いたり、太鼓を叩いたりして騒ぐことは許されなかった。そのうえ夕方暮れ六ツ(6時)になると入口が閉じられ、山外に退出しなければならなかった。こうした堅苦しさを嫌った若い男女は、隅田川大堤や飛鳥山の方を好んで出かけたので、ここの見物人は老人や女性達が多かったという。  上野の清水(観音)堂は、京都の清水寺を模倣して舞台の上に建てられていた。この舞台からは不忍池、中島弁財天、さらには本郷台地の大名屋敷町を一望することが出来た。また、堂の下の路傍には奇妙な枝振りをした松の木があって見物人の目を惹いていた。広重はこの松を拡大した絵をもう一枚描いている。


#06、清水堂舞台上(北側から撮影)
#06上野清水堂⑤663.jpg

#07、階段上から不忍池方向を望む
#07上野の桜655.jpg
広重の絵では、不忍池が描かれていますが、現在は、桜の木やその他の木の陰になって、見えません。

#08、下の道から見た清水堂
#08上野清水堂(崖下から)686.jpg
舞台になっている様子が、良く分かります。
もう、陽はかげって、屋根のとこにしか陽があたっていません。

#09、南東側から見た清水堂
#09上野清水堂(南東から)677.jpg
公園内の照明に、灯が入りました。この時間帯は、昼の花見を終えて帰る人と夜桜を見に来る人が行きかって、大混雑です。また、公園内の通行上の注意を呼び掛けるスピーカーの音が鳴り響いていました。

#10、奇妙な枝ぶりの木
#10上野公園内奇妙な枝ぶりの木690.jpg
広重の絵に描かれた、木の枝が丸く輪を描いた枝の松の木は、明治のはじめに枯れてしまったそうです。
この枝ぶりに似た木があるかどうか、公園内のあちこちを探しました。そっくりな木はありませんでが、この枝ぶりにもっとも近い木は、公園内某所にありました。
(この木がある場所は、本ブログの「第2回、上野山内月のまつ(2009/10/26アップ)」の項を参照してください)

#11、上野公園内、上野駅方向へ向かう道
#11上野公園内駅への道700.jpg
花見を終えて駅へ向かう人々です。現在17時35分で、ぼんぼりに灯もともりました。
END

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おかぴょん

広重の版画と比較してみると、

違いがわかって面白いですね。

空いたころにまた行ってみたいと思います。(^O^)/


by おかぴょん (2012-04-11 12:26) 

きたろう

おかぴょんさん、コメントありがとうございます^-^
by きたろう (2012-04-12 03:17) 

萌音

こんにちは。上野のブログを読んでたらコチラのブログに辿り着きました。写真が綺麗でオシャレなブログですね。羨ましいです。
by 萌音 (2014-03-19 20:52) 

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